Archives February 2021

スポーツベッティングへの参加を促進するスタートアップ

スポーツベッティングへの参加を促進するスタートアップ

この1年の間に、スポーツベッティングにとって決定的な出来事が2つありました。ひとつは、米最高裁判所がスポーツ賭博の合法化に向けて動き出したこと。そしてもうひとつは、スマホアプリ「HQトリビア」の出現です。毎日毎日現金狙いで勝負しようと構える100万人以上のユーザーのお蔭で、人気が急上昇しました。さらに、企業の中には、ギャンブル関連の商品を合法的に提供できると保証してもらえた企業も出てきました。これは日本の開発者にとっては朗報です。参入できる新規市場ができるかもしれないのですから。

Readyfireといったアメリカの企業は、今後はスポーツベッティングがまったく当たり前のものになるだろうと考えています。試合のハーフタイム中や試合があまり盛り上がっていないときに、ツイッターやインスタグラムなどを見て過ごす代わりに、スマホから賭けをする人が増えるだろう、と。この種のアプリは、カジノ嫌いの人や、ブックメーカー(スポーツベッティングの胴元)の存在すら知らない、という人さえ惹き付けられるような魅力的なゲームとなっており、新規ギャンブラーの獲得が期待されています。

ベッティング系スタートアップは、ユーザーがスマホアプリを通して賭けられるようになることを望んでいますが、現状ではまだそこまでに至っていません。国や地域によりに法律が異なるので、アプリを運営するにも異なる規格やライセンスが大量に必要になり、費用もかさんでしまうからです。

それでもスポーツベッティング系スタートアップは、スマホで賭けられるようにすることを目指しています。ギャンブルが面白くてやめられないと思ってもらうには、賭けがとても簡単にできるスマホが最適だと考えているからです。

前述のReadyfire社には、「Halftime Live」という商品があります。スポーツイベントのハーフタイムに行われる、スポーツをテーマにしたクイズです。400ドル規模の賞金を狙ってこのクイズに参加しているプレイヤーの数は、現在6,000人くらいです。これはトリビアゲームですので、現金を賞金として提供するのも合法的に認められています。このスタートアップの目的は、スマホでのギャンブルを、実験的な試みでも積極的に受け入れてくれるオーディエンスを生み出すことなのです。

今日、特定のサッカー選手やバスケットボール選手、野球選手のファンが自分の好きな選手に一定額の掛け金をベットし、その選手がゴールやホームランを決めたら、それをきっかけに一連のベッティングが開始されるというアプリの開発が手がけられています。その選手が活躍するたびに、スマホのプレイヤーは賞金獲得に一歩近づく、というわけです。しかも、統計を取ったり、ゲームの練習をしたり、カジノに出かける必要もありありません。

スポーツギャンブルを試してみたいというオーディエンスを大量に生み出すことを目的としているスタートアップが、もうひとつあります。その名も、WinView。このアプリは、クイズのようなゲームを提供し、試合のある部分で何が起こるかをユーザーに予測させます。予測するためには頭を使う必要がありますから、これは偶然ではなくスキルによって勝敗が決定するゲームです。このようなタイプのスキルゲームは、合法的に受け入れられるでしょう。

世界中でスポーツベッティングが合法化されれば、デイリーファンタジースポーツ企業や開発者の多くが、大きな恩恵を受けることになります。モバイルギャンブルに関しては、スタートアップが最も優れた業績を出すのではないかと予想されています。しかし、課税やライセンスの問題が出てくれば、スタートアップはギャンブル・プラットフォーム大手にはおそらく太刀打ちできないでしょう。ただ、スタートアップでも本格的に資金を投入すれば、忠実な顧客が得られ、明るい未来を迎えることができるかもしれません。

日本のトップ・テックスタートアップ

日本のトップ・テックスタートアップ

日本は世界第3位の経済大国であり、名目GDPは5.2兆ドルに達しています。これはすべて、日本でスタートアップ・エコシステムが隆盛しているからなのです。そしてその背景には、日本の立地条件、最先端のテクノロジー、熟練した労働力、航路へのアクセス、そして政府の規制が優れているといった重要な要因があります。スタートアップの大半は東京の渋谷区と港区に集中しており、日本には330万社以上のテック・スタートアップがあります。ここでは、日本で最も成功しているテック・スタートアップをご紹介します。

DeCurret(ディーカレット)

DeCurretは、暗号通貨の交換・決済用プラットフォームとして2018年に設立されました。暗号通貨は日本でも世界中でも大きなトレンドですから、こうしたスタートアップが設立されても不思議ではありません。

DeCurretが提供するのは、ユーザーが暗号通貨の交換や決済に利用できるモバイルアプリです。DeCurretのプラットフォームでは、日本円入金、暗号資産(仮想通貨)の交換、取引、送金などのサービスも提供されています。

 

GROOVE X

2015年に設立されたGROOVE Xは、消費者向けソーシャルロボットを開発する企業です。このソーシャルロボットは「LOVOT(ラボット)」と呼ばれ、素晴らしい機能の数々により、私たちの暮らしを助けてくれます。その素晴らしい機能とは、ベビーモニター、留守番電話、家のパトロールといったもので、これらを利用すれば、家事が大変楽になります。ロボットのボディには約50個のセンサーが搭載されているほか、360度カメラ、マイク、深度カメラ、サーマルビジョン、障害物センサー、さらには移動用の格納式ホイールまで装備されています。さらに、開発者によると、「センサーが捉えた刺激を、 ディープラーニングを含む機械学習技術で処理、リアルタイムに動きを生み出している」ということです。

SkyDrive(スカイドライブ)

日本のトップ・テックスタートアップ

SkyDriveの業務は、ユニークで楽しいものだといえます – この会社は、電動の「空飛ぶクルマ」を開発しているのです。2018年に設立されたSkyDriveは、電動の垂直離着陸(eVTOL)機、バッテリー駆動の旅客輸送用VTOL、重量物運搬用ドローン(「カーゴドローン」)など、さまざまな電動車両を提供しています。同社のカーゴドローンは積載量が大きく、着陸せずに簡単に荷物を降ろすことができます。素晴らしい企業であり、同社の製品は、重量のある農作物や建設資材の輸送のほか、自然災害時の物資輸送にも利用できます。SkyDriveは、環境に負担をかけない、優れた輸送ソリューションを我が国にもたらしてくれたと言っても過言ではないと思います。

BASE

2012年に設立されたBASEは、企業のネットショップ作成支援を目的に作られた、クラウドベースのソフトウェアプラットフォームです。ビジネスをEコマースに変えたいという企業から最も利用され、成功を収めていることから、BASEは素晴らしいソリューションを提供しているといえます。このクラウドベースのプラットフォームには、決済ゲートウェイ、テーマとテンプレート、マーケティングツール、簡単な受注・在庫管理、PIM、SEO設定、CRM、レポートと分析など、さまざまな機能が搭載されています。ただし、ネットショップに付いてくる機能の数は、どのパッケージを選ぶかによって異なり、価格もそれに応じて異なってきます。このほかにも、BASEはショッピングアプリも提供しており、AndroidとiOSの両方に対応したこのアプリは、化粧品、ファッション、スポーツといった製品を扱う企業に最適です。

2021年のトップスタートアップ5社

2021年のトップスタートアップ5社

パンデミック中も、経済に眠りはありません。特にスタートアップの活躍はめざましく、コロナ禍にもかかわらず、コロナ前以上に頑張っている企業もあります。スタートアップの多くが、コロナ禍を乗り越え、進化を遂げることができています。また、他の産業も台頭し、成長していますし、職種によっては特に人材を惹き付けている所もあります。以下に、2021年のトップスタートアップをご紹介します。リンクトインのメンバーによって生み出された何十億というアクションから成るデータを解析して、決定されたリストです。

Better(ベター)

フルタイム社員4,000人というこのニューヨークの企業は、2016年に設立されました。ロックダウン入り後の米国経済はあっという間に沈み、リセッション入りしてしまいましたが、そのエンジンのひとつである住宅関連事業の業績は、底固く推移を続けました。今日デジタル住宅ローンの貸し手であるBetterでは、借り換えの申し込みや新規ローンの申請が殺到しています。

これは金利の低下や(リモートワーク政策による)スペース需要の増加によるものですが、この要求に対応するために、この比較的若い会社は、数百人規模の新社員を募集し始めました。そして、2020年後半の9か月間で、1,500人を超える社員を採用しました。将来的には、さらに数千人の社員を迎え入れる予定だということです。

DoorDash(ドアダッシュ)

近年DoorDashは上場申請を行いました。このオンデマンド型フードデリバリーサービスは、コロナ以前から、大きく飛躍しようと計画していました。その後コロナで隔離措置が導入されたことにより、業務の需要が急増しました。「Dasher(ダッシャー)」と呼ばれる配達員が従業員であるかどうかを巡ってカリフォルニア州法と闘い続けてはいるものの、同社の野望は大きくなるばかりです。2020年には、配達商品の範囲を食料品や薬品にまで広げました。従業員を約2倍に増やしたDoorDashは、今では採用プロセスを「カルチャーフィット」から「バリューエンジニアリング」へと改めることに力を注いでいます。

Databricks(データブリックス)

このオープンソースベースの分析プラットフォームは、企業にデータサイエンスや機械学習のツールを提供しています。このツールを利用すると、企業はデータからより多くの価値を得られるようになります。テーラーメイド医療の治療法を開発したい医療機関から、不正行為を予防したい銀行に至るまで、さまざまな分野で活用されています。同社は2019年末までに4億ドルの資金を調達し、2020年6月にはテルアビブを拠点とする企業「Redash」を買収し、ダッシュボードの機能を拡大させました。

Outreach(アウトリーチ)

Outreachはセールス・エンゲージメント・プラットフォームで、人工知能を搭載したツールを提供し、営業担当者が顧客の住所を確認し、連絡を取り、顧客とのつながりを維持できるよう支援しています。2019年以来、従業員数を倍増して約600人に増やし、評価額13.3億ドルで5000万ドルを調達しました。新技術の開発や欧州・アジア進出を狙った動きです。

Attentive(アテンティブ)

Attentive社は、モバイル端末を利用したテキストメッセージのマーケティングを扱う企業です。リアルタイムの行動データを利用して、ブランドが適切なタイミングで顧客にアプローチできるよう支援します。Attentiveはすでに、Urban Outfitters、CB2、Coachといった大手企業と提携しています。2020年4月に4,000万ドルを調達しました。資金は事業の拡大に利用される予定です。CEOのプランでは、2020年末までに従業員数を400人に増加するということです。

投資を考えている人であれ、新たに就職先を探している人であれ、これらのスタートアップから新たなポテンシャルを感じる人も多いのではないでしょうか。将来が楽しみなスタートアップ企業のご紹介でした。